冬ごもり

 冬の話をしようとする時は、年が改まるため表示の方法が難しい。「今冬」という表現法は使用したことがある。広辞苑を引いてみたら「今冬」「昨冬」は載っていた。ただし、「一昨冬」は出てこない。学校、事業などで使用する「年度」を使用すればこの問題は解決するが、季節の表示に使用した例を見たことは無い。後述するが気象庁の場合、降雪量の年表示は前年暮れの値を新年分に繰り入れ表示していた(例えば、平成19年の降雪量は平成18年暮れの値と19年新春分の合計値)。

 のっけから話しがそれた。
 昨年(平成19年)の1月は『二の畑』の歩道作りなど屋外作業をある程度こなした気がするが、今年の冬は軒下作業の『古材のテーブル』を作ったのみ。屋外作業はほとんどしなかった。まさに冬ごもりであった。

 昨年比、何故屋外作業が少ないか? 自問自答することがある。
「加齢により横着気分が増したのか・・・」と、
一つの答え。
「雪の性よ」と、
別の答え。
「昨年より雪は多かった?」と、
新たな疑問が出てくる。

「調べてみるか」
「どうやって」
「インターネットなら?」
「気象庁だネ」と、
すべて独り言。
「ありました!」 気象庁データの中。

 気象庁は「アメダス」という気象観測網を備えている。全国で約850箇所あるとのこと。近くのポイントを指定すれば過去のデータが検索できる。八色石の近くでは『瑞穂』というポイントがある。細かく言えば「淀原」という集落で、八色石からはおよそ10Km離れている。
 気象庁のホームページを開くと「気象統計情報」のタグがあり、これを開き「過去の気象データ検索」の項を指定する。開いたページには「地点選択」のボタンがあり、近くのポイントを指定すればよい。

 降雪量について、瑞穂ポイントの値を調べた。
 今冬(平成19年12月、平成20年1月)の降雪日と降雪量は12月が2日で降雪合計が28Cm、1月が8日で56Cmとなっている。昨冬はどうだろう。12月は1日で12Cm、1月は1日で2Cmしか降っていない。確かに昨年は少ないようだ。特に1月の差が激しい。昨年の1日に対し今年は8日。それも飛び飛びの日に降っている。消えては積もり消えては積もりを繰り返している。

 さて、その前年は「平成18年豪雪」と呼ばれた大雪の年である。その時の値も調べてみた。
 12月4日から降り始め、止む事無く1月29日まで降り続いている。この間、12月の降雪計は230Cm、1月が130Cmである。この年は2月、3月にも雪が降った値となっている。あろうことか、4月20日にも1Cmの降雪を記録している。
 ただし、私個人は3月、4月の雪の記憶が薄い。
 この瑞穂ポイントの標高は327mと表示されている。八色石里庭の標高はおよそ320m、役場瑞穂支所はおよそ290mである。瑞穂ポイントは一般の生活圏より少し高いことになる。冬場寒い時は標高に関係なく雪となるが、春先は『山は雪、里は雨』の差が出たのかも判らない。

 この降雪データは昭和60年以降のものが掲載されている。“豪雪”前20年間の平均値を計算すると260Cmとなった。これに対し、豪雪の平成18年は590Cmであり「多い異常値」、昨冬は33Cmで「少ない異常値」といえよう。

 長々と気象庁のデータを引用した。
 以上の結果により「今年は昨年に比し雪が多い。屋外作業の出来ないのは、加齢によるものでなく、降雪量の差によるものである」ことが証明された。

 逆説的な人がいて、「こうして終日家にこもり、屋外作業の少ない理由を探し出す姿こそ“加齢の結果”」と言われれば、これはこれ、反論する材料が見当たらない。

次は何を調べるのだろう。