豪雪感
何故か、理由はないが「今年(平成21年)は雪も多くなかろう」と、勝手に決め付け冬支度をほとんどせず冬を迎えた。しかし、大晦日を起点に降り始めた雪は予想外に多く、平成18年(平成17年暮れ)の大雪よりは少ないものの、この数年では多い部類に入るものとなった。
昨年の冬、「冬ごもり」と称して、アメダスの瑞穂ポイントのデータを引用し、積雪についての駄文を掲載したことがある。
今回も同様の試みとなるが、1月の降雪量が公表されたのを期に当地の降雪について調べてみることにした。
まず、ここ数年の降雪の合計値示す。日々降雪量の合計値(Cm)である。
1月 2月 3月 4月 ・ 11月 12月
平成16年 95 99 73 0 0 42
平成17年 187 154 109 1 0 230
平成18年 130 1 111 1 0 12
平成19年 2 19 0 0 0 28
平成20年 56 238 0 0 0 27
平成21年 288
今年の1月は、近年で最も多い降雪を記録していた。
しかし、“私の豪雪感”イメージとこの値は異なる。私のイメージでは第1位が平成17年12月、第2位が今年の1月、そして3位が昨年2月の順となる。
“豪雪感”はなぜ降雪量に一致しないのかと思い始めた。
アメダス データを調べてみることにする。
まず、日降雪の最大値を調べた。
H17.12が28Cm、H21.01が39Cm、H20.02が26Cmであり、“豪雪感”に一致しない。
ついで、最深積雪を調べた。この値はその日その日の積もっている雪の深さを示す。
H17.12が79Cm、H21.01が59Cm、H20.02が26Cmであり、豪雪イメージにピッタリ一致した。当然と言えば当然であるが、人は降る雪の量より積もった雪の量をみて“豪雪感”を感じるようである。
それでは何故降る雪の量と積雪の値が一致しないのかという疑問がおこる。答えは雪が融けるからであろう。融ける量は何の影響を受けるか。まず思いつくのが気温である。
日平均温度を調べてみた。
H17.12が−0.2度C、H21.01が−0.1度C、H20.02が−0.4度Cと思わぬ値となっていた。気温に比例しないのかと不思議に思い仔細にデータを調べると、雪の積もっていない時期の気温が影響しているようである。例えば、H17の場合、雪は12月4日から降り始めているが3日までの気温が高く、これらの値が平均値を上げている。4日以降で計算すると−0.6度Cになる。丹念に調べ再計算すればよいかもしれないが、指標にする値としてはどうも問題があるようだ。
代わりの指標になる値を探してみることにする。いくつか調査の結果、最も良い値となったのが、日平均の温度がマイナスの日数である。
H17.12が20日、H21.01が17日、H20.02が15日となり、豪雪イメージにピッタリ合致する。指標として採用できそうでもある。
以上豪雪になる条件を探してみた。当然と言えば当然の結果であるが、雪が2m以上降ること、そして日平均がマイナスの寒い日が続くことが2大要素である。
ただ、本件は筆者の知的好奇心を若干満足させただけの話で、何の対応策を提示するものでもない。読者は、戯言に長々付き合わされたと思っていただけばそれでよい。
平成17年の大雪時、まだシルバー人材センターに勤務していた。連日除雪の依頼が殺到し、その数は100件を超えた。休日返上で対応した記憶が懐かしい。今次の積雪時、除雪依頼の件数をセンター事務局に問えば、今年1月は27件、昨年2月は3件であったという。“豪雪感”に一致する値であった。