「鉄穴流し」「たたら」いずれも中世を中心に展開された鉄(鋼)採取に関する用語ですが、違いは判りますか?
「鉄穴流し」は山の傾斜を利用して水を流し、原料になる砂鉄を分離採取する工程ののことです。規模の大小を問わなければ、戦後までこの地方(八色石、布施地区)で行われていたそうです。
「たたら(製鉄)」は砂鉄を原料にして鉄を製錬することをいいます。中世から明治期まで、この地域で盛んに行われていました。
明治20年の島根県の記録では、砂鉄で有名な出雲地方より邑智郡の産出量が多いという記録があるそうです。

この度林道設置工事にあたり、江戸期末期の「たたら」跡が工事区域にかかり、遺跡調査が役場で行われその説明会が開催されました。
遺跡名「長源地2号製鉄遺跡」、場所;布施地域、開催日;平成20年7月5日。

布施公民館で事前の座学。
田所公民館、吉川館長の話。

製錬本体箇所、地下構造も見えるよう
掘り下げる。

砂鉄原料の保管場所跡

現地説明者、調査を指揮した角矢さん、
役場教育委員会所属。

2〜300m離れた箇所の、3号遺跡。
この遺跡は先の遺跡より一昔前、江戸期のもの
という説明であった。
「カナイゴさん(火の神様)」を祭る祠もあった。

なかなか立派な遺跡。
参加者の多くが、「林道計画を変更し遺跡を残すべき」と思われた模様。
我々の思いも同様であったが、ことはそう単純には行かないでないらしい。

出来上がった鉄を流し込む池。
このため、邑智郡の製法は「水鋼」と呼ばれた。

見学者の群れ