欅台の片隅にあって、かつては花を付けていた桃ノ木がある。
記憶が不鮮明であるが、いつのころからか咲かなくなり、その内すっかり枯れ、蔦に覆われて桃ノ木であることさえ忘れることもないではなかった。
「倒そうか?」と話題にのぼることもあったが、いつしか忘れ、放置が続くという状況であった。
2、3年前頃か、何か枝らしいものが出たが、これも放置される状態が続く。
さて今年、この枝に多くの花が咲いた。大輪の桃の花である。
わが身の中で再生の気分が盛り上がり、古株の切り倒しと相成った。
(左;切断前、蔦に覆われている、
右;切断後、矯正で引っ張っている) |
脇芽を育てる方法を「萌芽更新」という。通常は人の手で切り倒された後に出た脇芽を育てることを言うが、今回は桃自身による自家更新になっている。
この桃ノ木、昔の姿が思い出せずにいて、「まさかないよな?」と、古いファイルを探したら、思いがけずすぐに見つかった。
写真右下に白く花を付けて写るのがそれ。2002年4月14日の日付がある。移住した翌春になる。
全ての植物の様相に大きな変化が見とれ、歳月少なからずの感慨が浮かぶ。
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